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2018.07.09

【全文掲載】老舗コーヒー豆屋・宮嶋克雄の「バールで立ち話」②

仙台市青葉区国分町にある『コーヒービーンズストア ろじーな』のマスター・宮嶋克雄さん。長年、仙台・宮城のコーヒー文化に真面目にマメに向き合ってきた彼だからこその痛快?辛口?な連載です。本誌連載よりちょっぴり遅れてWebにて全文掲載いたします。タイムリーに読みたい方は「せんだいタウン情報S-style」をチェックしよう!

第2回「フルーティーなコーヒー」

コーヒーは、コーヒーの果実から取り出した生豆(種子)を煎る(加熱)ことで、今親しまれているような香ばしい飲み物になりました。日本では鎌倉時代の1200年頃のことです。実は、それ以前にも焙煎していないものが飲まれていたのです。記録に残っているのは、900年前後のアラビアのお医者さんが書いた医学書の中に出てきます。と言うことは、薬として飲んでいたのですね。果実をドライフルーツにし、煮出したものです。効能は、「胃に極めてよし」とあります。胃薬の始まりだったようですね。その後、効能の範囲が広がって、最終的に万能薬のような飲み薬として知られていたようです。イスラム圏で門外不出の秘薬として特別な飲み物でした。この果肉をドライフルーツにして、煮出して飲むという方法は、現代のイエメンでキシルと呼ばれ、飲み継がれています。例えばサクランボのドライフルを試しにお湯に浸けて、煮出して飲んでみましょう。キシルと同じ、苦味・コクではない甘酸っぱい、フルーティーな飲み物になると思います。このジューシーな果肉の風味は、煎り豆になっても残っているものがあります。果肉の風味が強く出ているものはワインフレーバーなどと言われて、お酒のようなニオイがするものもあります。これは、果肉の風味が生豆に移ったからなのですね。こうした風味は果実から生豆(種子)を取り出す農作業で決まってきます。試しに、「ナチュラル(自然乾燥式)」という方法の名前が付いている豆を購入してみてください。きっとフルーティー! アラブのお医者さん以前では、こんな逸話もあります。コーヒーは、エチオピアに自生していたコーヒーの森が始まりです。今のすべての産地は、エチオピアの子孫たちなんですね。コーヒーだけではなく、神様・人の発祥はエチオピアという説があります。アダムとイブの赤い禁断の果実を知ってますよね? これがコーヒーの果実という話です。コーヒーなら覚醒して誘惑ということになるかも…。実際、18世紀のヨーロッパでは、「りゅうぜんこう」というマッコウクジラからとれる香料をコーヒーに入れて、媚薬として扱われていたことがあるくらいです。だから女の子はコーヒーに弱いはず? 「りゅうぜんこう」も「コーヒー」も琥珀色で、琥珀の媚薬なんですね。そうか…だから男は女の子をカフェに誘うのか?  さて、こうして苦くないフルーティーでジューシーなコーヒーから、生豆を煎るということで、薬の効能に加え、苦味、コク、甘味、香りの香味を手に入れることになったのです。だから、カフェ誕生の1500年前後まで、カフェではコーヒーは飲まれていなかった。コーヒーのおいしさを知るためには、ここが、一番肝心なところだと僕は思うんです。皆さん自身が、生豆を購入して、煎って、砕いて、淹れるというおいしい習慣を持つ必要があったんですね。

著書『バールで立ち話 COFFEE LIFEはトップノートで』が金港堂・ほか仙台市内書店にて発売中

コーヒービーンズストア ろじーな

営業情報:※月1回焙煎教室、月2回コーヒー教室開催(1,300円・書籍付)

HP:http://www.c-beans-store.net

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osakana
おさかな

仙台在住16年、編集長5年目。好きな温泉地は須川高原温泉(岩手)、野地温泉(福島)、鳴子温泉(宮城)。仕事柄食べることは大好きだが、withコロナ時代は「生活の時短」をテーマに、最新家電や在宅ワークに役立つアイテムにハマり中。Amazonヘビーユーザー。