麺の可能性を広げるべく、対極の中華そばで未知なる挑戦
「老若男女を問わず、うちの自慢の熟成麺を食べて欲しくて、誰でも食べやすい中華そばを出すことを決めました」と話すのは、店主・中下さん。
その狙い通り『萩ノ宮』のカウンターを埋める客の中には、買い物帰りのご婦人や老夫婦の姿も今まで以上に見受けられる。彼らが食べているのが中下さん力作の「中華そば」。
中華そば 煮玉子入り(850円※大盛+100円)
鶏ガラと丸鶏からとったダシに、アサリの煮汁を加えて深みをプラスしたスープは、口に含むと甘みとコクが広がる。麺は中華そばのために新たに生み出されたしなやかな細ストレート麺。パツンとした歯切れと、ざらつきのないツルンとした舌触りで、麺をすする箸が止まらない。
トッピングにも静かな個性を光らせる。メンマ、煮玉子、青菜と刻みネギ、そして豚ロースのチャーシューが行儀よくスープに浮かぶ。チャーシューは麺同様中華そば専用に仕込まれた逸品。油そばには歯ごたえのある豚バラチャーシューを使うのに対し、中華そばで重視したのは柔らかく味が染みこんだ一枚を届けること。新たな一杯に込める気合は十分。
「専門店に留まらず、自社製麺所を活かしてさまざまな麺に挑戦していきたい」。中下さんの言葉からは、さらなる挑戦が予感される。
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