皆さんこんにちは!
S-style編集部のありちゃです。
女性アイドル(特にWACK)と女川大好き!なありちゃの熱烈オファーにより、
「S-style4月号」から連載が始まった、蒲鉾本舗高政社長・高橋正樹さんによる好評連載「女川とアカルイミライ」。
震災後の悲しみの中、ひょんなことから始まった女川とアーティストたちの物語。さまざまな出会いを経て、“被災地”から“ハッピーを届ける町”へと変貌を遂げた女川のストーリーを、物語の立役者・老舗蒲鉾店『蒲鉾本舗 高政』社長の高橋正樹さんが紡ぎます。
蔵出し情報満載!(?)な本連載を、全国のアーティストファンにも届けるべく、
特別にWEBで全文公開します。
絶望的な光景だった。
突然会場を襲ったゲリラ豪雨は、ひとまず止んだ。しかし、目の前に広がるのはぬかるんだ土、水たまり、テントで雨宿りしながら落胆する人々の顔、そして重い静寂。さんまを焼いていた炭火には雨が入りモクモクと勢いよく水蒸気が天にのぼる。震災から1年半、ようやく開催にこぎつけた歴史あるイベント『おながわ秋刀魚収獲祭2012』は先ほどまでの賑わいから一転、斯くも悲惨な有様になった。
実行委員会主要メンバーが緊急招集された。中止か、続行か、というよりも、このぬかるんだ土のグラウンドで、さんま焼き台やテントなどをどのように撤収するか“中止”を前提とした話に既になっていた。中止かぁ…。ふとステージに目をやると、次のステージ出演予定になっているアイドルBiSのファン(総称:研究員)がどこから持ってきたのかステージ前にブルーシートを広げ始め、自主的に観客スペースを作っている。ひざ上までズボンをまくる人、上半身の人、裸足でパンツ一丁の人。「さあ、いつ始まってもいいぞ!」という気迫。雨天中断中のプロ野球選手のようにヘッドスライディングで笑いを取る人も。そりゃそうだ、彼らはBiSへの想い一つでこのガレキだらけの日本の端っこの町に来たのだ。中止なんてあり得ない。
「実行委員長、あれを……わざわざ遠くから来たファンの人達やる気満々っすよ。こんな女川まで来て、泥まみれでブルーシートば敷いでいる人だぢに『中止です、やめてください』って、おらは言えねっす。中止にすんの簡単だげっと、お願いします。やりましょうよ!」実行委員長は「んだよなー。この人らに帰れって言えねぇよなー。すげぇよなこのお兄ちゃん達。よし、やるか!」笑顔でステージの続行を決断した。こうして、研究員の皆さんの熱意と行動のおかげで、歴史あるイベントは中止を免れた。
迎えたBiSのステージは、研究員の熱量と共にまさに圧巻。MCでは『イタイイタイのとんで来い』の歌詞にまつわる女川の女子高生のメールも読み上げられ、BiSが女川に来た理由も語られた。一途な愛とあきらめない気持ちが、幸せな未来をもたらす。当たり前だがなかなか出来ない。まちづくりで絶対に忘れてはいけないことを、この日私たちはBiSと研究員から学んだのだ。
いかがでしたか?
「S-style6月号」には、「おながわ秋刀魚収獲祭2012」の写真も掲載しています。
興味がある方は、ぜひお手にとってみてくださいね。
次回の連載もお楽しみに!
「S-style6月号」はAmazonで好評発売中!
出産を機にS-style編集部を卒業し、現在は在宅ライターとして仙台・宮城の注目情報を発信!ラーメンソムリエの資格をとっちゃうくらいラーメンが好きで、子連れで行けるラーメン屋開拓が趣味。家にいられないアウトドア派の息子(1歳)と格闘する日々で、最近は常にHP0状態です。
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