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2023.07.07

結成25周年記念!ファン必聴のリアレンジアルバムリリース。THE BACK HORN松田晋二さん来仙インタビュー

1998年に結成した4人組ロックバンド「THE BACK HORN」。毎年春に川崎町で開催される「ARABAKI ROCK FES’」皆勤賞の彼らは、メンバーのうち2人が福島出身と東北に縁が深く、宮城でも精力的にライブを行っています。

結成25周年を迎えた2023年6月に、骨太なロックバンドのイメージとは打って変わった印象の「リアレンジアルバム」をリリース。

今回はドラムの松田晋二さんに、コロナ禍での楽曲制作やライブについての話を交えつつ、アルバム制作の裏側や25周年についてお話を伺いました。

松田晋二(まつだしんじ)。1978年、福島県生まれ

ファンとの信頼関係を再確認した
コロナ禍での無観客ライブ配信

まずは、結成25周年と、アルバムのリリースおめでとうございます。20周年で武道館ライブを行っていたのがついこの間のようで、25周年と聞いて、「え、もう5年経ったの!?」って、ちょっとびっくりしています。コロナ禍で大変な時期だったと思いますが、この3年間で変わったことはありますか。

松田2019年2月の20周年記念の武道館から、この25年を迎えるまで、本当にあっという間でした。コロナ禍中“どういう風に活動していくか”をメンバーたちと話しあって、その時にできる限りのことをしよう、と決めたんです。今までやってきたようなライブの状況とは変わってしまったので、初めて無観客の配信ライブに挑戦して、少しずつライブができるようになってきてからは、予定していたツアーをできる範囲で続けました。お客さん側も声を出せないとか、ディスタンスをとるとか以前とは異なる環境でしたが、その中でもバンドを必要としてくれているみんなの思いだったり、制限のある中でのレスポンスだったり、皆さんが伝えてくれるものがすごく嬉しくて。そういう制限があったからこそ、今まで声や表情からダイレクトに感じていた自分たちの“ライブの循環”みたいなものが、より伝わってきました。それは多分、コロナ禍がなかったら自分たちも感じられなかった。そういうみんなの思いを感じる期間でした。

THE BACK HORN=ライブバンドと言われている中で、無観客のライブは精神的にも大変だっただろうなと思います。こちらも配信だと客観的に見られるので、普段ライブで感じているものとは違うものが受け取れたなと思いました。

松田そうですね。無観客配信ライブの場合は、(お客さんは)目の前にいないけれど、そのカメラの先に、ひとりひとり、それぞれの場所で、みんなが僕らのライブを楽しみにしてくれている、受け止めようとしてくれているっていうのを、信じながら演奏していました。確かに、目の前にいるお客さんと一緒に時間を共有しながら、生きている実感を味わうのとは違う部分がありましたけれど、カメラの向こう側を信じながら演奏できたのは、自分たちのキャリアが20年を超えたからこそ届けられた時間だったかもしれないですね。

完成された楽曲を組み立て直す
25年の経験で挑むリアレンジ

そして、6月14日に25周年記念のリアレンジアルバムが発売となりました。どういう経緯でリアレンジにしようとなったのでしょうか。

松田少し時間が戻るのですが、2022年にいつかこの状況が落ち着いたときに、またみんなと時間を共有して、音楽を通じて一緒に“俺たち今生きているな”という感覚を味わいたい、という願いと希望を込めたアルバム「アントロギア」を出しました。リリース後の全国ツアーはコロナ禍でも延期することなく完走して。そして、その後の25周年っていうタイミングで、自分たちが新しいチャレンジができるものとか、今までバンドを応援してくださった人たちに、驚きと新鮮さと、深さを感じてもらえるものを届けたいと。楽しんでもらえるものはあるかなって、みんなで話しながら考えていました。その時に「銀河遊牧会」というファンクラブの皆さんとのイベントで、アコースティックで数曲演奏したことをふと思い出したんです。何年か続けていた企画で、ファンの皆さんにもアコースティックライブをすごく新鮮に感じてくれて、「よかった」って言ってくれていたことを思い出して。じゃあ、これを軸に、アコースティックだけではなく、今まで自分たちがリリースしてきた楽曲をリアレンジという形で、また別の表情を見せるアルバムはどうか、と僕からメンバーに発案しました。

Vo.山田将司さんの歌い方もそうですし、みなさんの成熟具合がより伝わってくる感じの仕上がりですよね。以前のインタビューで、「時代を、その時をパッケージしたい」と話していたので、今のTHE BACK HORNをパッケージしたのがこのリアレンジのアルバムになったのかな、と想像していました。

松田まだデビューして間もない頃や20代では、リアレンジの発想には行き着かなかったと思います。とにかくそのときに表現したいもの、そのときの気持ちも感情も一緒にのせて音にパッケージすることを目指していました。いろんなツアーを経験して楽曲を作っていくごとに、(制作時の)熱量とか感情の後ろに潜んでいた音楽的な響きや魅力、その楽曲のもっともっと奥深くにあった感情の動きみたいなものを、今回アレンジ作業をしながら見つけ出すことができたんです。なので、今やりたいっていうのもありますけど、今だからこそ完成できたと思います。アコースティックライブからさらに突き詰めているので、みんなに驚いてもらえるものができたんじゃないかなという手応えがあります。

全部聞いた感想ですが、「幻日」は元の楽曲よりもミステリアスでディープな感じでしたし、「ファイティングマブルース」はブルースっぽくアレンジされて、曲の説得力が増したな、という曲も多かったです。

松田その2曲に関しては、元々メンバーの演奏に気持ちや熱量みたいなものがパッケージされていました。けれど、楽曲の音楽性に向き合うことで、そういう熱量とか、明るさ、激しさがなくても、楽曲の世界観をより濃く、より深くできるっていうのを特に感じた曲ですね。

さまざまな世代の曲を1枚まとめていますが、選曲の基準は?

松田最初の骨格は毎年行なっているファンクラブイベント「銀河遊牧会」で演奏した曲から選んでいこう、となっていました。さらに山田将司から「『ファイティングマンブルース』とか『幻日』とか、THE BACK HORNにしかできない 世界観の曲も、リアレンジに挑戦してみたいね」っていう話が出たんです。確かに、アコースティックサウンドを軸にするとなると、どうしてもやわらかな歌の響きを聞いてもらう選曲になってしまう。そういう曲もありながら、バンドの濃いディープな世界観も味わってもらいたいと思って、メンバーみんなで話し合ってバランスを取りながら選びました。あとは、「銀河遊牧会」でも演奏しなかった3曲、「美しい名前」「罠」「夢の花」はバンドの代表曲。(バンドを知らなくても)曲だけを聞いてくれている人たちにもリアレンジによる新しさみたいなものを感じてもらいたくて、誰もがいいと言ってくれている3曲に挑んでみる気持ちでリアレンジするのはどうだろうかと。

ある意味挑戦の3曲というわけですね。

松田かなり挑戦でしたね。ベースから始まる緊迫感のあるシリアスな「美しい名前」の世界観に“アレンジする魅力”を感じてもらえるか不安だったんです。でも将司からアコギのアルペジオのフレーズが生まれたときに、「あ、これはなんか見えたかも」という感覚がありました。そこからドラムのリズムも見えて、跳ねたリズムのアプローチになって、より進んでいった感じです。

作品の新しい面が浮かび上がっていてすごく新鮮だし、こんな表現があったのかと驚きました。皆さんでセッションしながらちょっとずつアレンジしていったんでしょうか。

松田「罠」は将司が「あ、見えた」みたいなデモを持ってきたんです。原曲はギターがザクザクしている、ヒリヒリしたロックな楽曲ですけど、「クラップが鳴っているイメージとか、ビッグバンドのようなドラムのタムのフレーズが鳴ってるような、そういう怪しさが見えたんだよな」ってデモを作ってきて。楽曲によってイニシアチブを取る人は変わりましたが、アコースティックサウンドをベースにしながらも、シンセサイザーなどいろんな楽器の音色が入っているのは、最終的にGt.の菅波栄純の視点が入っています。ギターを入れるのが最後だったので、そのタイミングでギターの音がいいのか、それともこの年代のこの楽器のほうがいいんじゃないか、この楽曲は音楽的にも80年代のシンセサイザーの懐かしい感じが合うな、とかいろいろなアイデアを試してくれました。彼の視点がリアレンジを作るにあたってすごく大事な要素になったなと思います。

すごいですね。挑戦もありつつ、新しい要素も入れつつも、1枚のアルバムとしてまとまっているので、制作の大変さが伝わります。

松田すでにアレンジしてライブで演奏している曲もあるし、もっと細かいアレンジだけ進めていけばすんなりできるかな、と思っていたんです。でも、やっぱりTHE BACK HORNは昔から、「なんか、そのままやってもな」「自分たちもやりがいが欲しいな」って、「作り上げた」っていうところに行きたくなっちゃうんですよね(笑)。みんなにも驚いてもらいたいし、いろいろなアイデアに挑めたところも良かったし、挑んだ結果、自分たちでもぐっとくるアレンジに仕上がりました。「夢の花」とかは特にですね。

シティポップのようなアレンジで、感動しました。

松田感動しますよね、僕もすごく大好きで。2004年に自分が作詞したこともあって思い入れがあるんです。「夢の花」は一風堂の土屋昌巳さんに初めてプロデュースしてもらった楽曲。当時、土屋さんがブリティッシュロックとかの要素を持ってきてくれたのが新鮮でした。 ウェッティで、ちょっと霧がかったようなサウンドが、あの曲にぴったり合ってるんですよね。元の楽曲の魅力を残しつつ、 今回のリアレンジではもっとカラッと、梅雨の晴れ間に広がる 清々しい感じがあります。

メンバーの皆さんも「こんなアレンジができた!」という発見をしながら作っていたんですね。

松田そうですね、ありましたね。すごいいいなって思う瞬間が。最初に誰かが作ってきたデモである程度イメージを共有できていた楽曲と、自分がリズムアレンジをしてみて「こういうのどうかな」「あ、じゃあ1回、それに合わせてアコギでやってみる」「あ、いいかも。じゃあ、頭の部分はアコギのリフみたいな感じにして」と、ちょっとずつみんなで反応し合いながら作った楽曲もあります。

本当に新鮮です。アルバムのリリースツアーの会場に東京、大阪の『Billboard Live』があると気づいて、一体どんなアルバムになるんだろうとワクワクしていました。こういう仕上がりだったら確かにあの空間で見るのにぴったりだなと思いました。ちなみに、アルバムの中で松田さんが1番印象に残っている曲はなんでしょう?

松田そうですね。さっきお話した「夢の花」もそうですし、本当は全曲なんですけど。うーん、「罠」ですかね。今回はリズムアレンジがすごく重要だったんです。リズムが変わることが聞こえ方に一番と言ってもいいほど影響したんですよね。エレキギターをメインで使っているわけでもなく、隙間や余裕の多いリアレンジになっているので、まず骨格であるリズムのアプローチがどういうテンポ感で進んでいくかが大事なんです。例えば、「幾千光年の孤独」だったらジャジーな感じ、「ファイティングマンブルース」だったらブルースな感じ、とどのジャンルのリズムが合うかを自分で想像しながら(アレンジを)進めていきました。「罠」はリズムを考えているとき、山田がビッグバンドっぽい、民族音楽っぽいタムのフレーズを持ってきたんです。“このアプローチ、自分では想像つかなかったけれど、 確かにこれは『罠』のロックな感じと、エレキギターで奏でるよりもっと深い世界観が表現できるリズムだ”と思って。リフ自体の裏から入ってくる感じも、これはこれで攻撃性のあるリズムに聞こえてきました。デモの段階では、将司のアコギと、栄純のエレキギターのリフを頭抜きで弾いたらいいかな、というイメージだったんです。ドラムとベースを含むリズムのレコーディングが終わった後、栄純が「ギターも録ったけど、いろんな楽器のアプローチはどうだろう」と言って持ってきました。そこではエレキギターで弾いていたリフをストリングスで録っていたんです。そうしたら、闇のカーニバル的な怖さが出ているなと思って。みんなのアレンジが積み重なって、完成形にたどり着く驚きみたいな感情を味わった制作パターンだったので、思い入れがありますね。

制作期間はどのくらいかかったんでしょうか。

松田4ヵ月はやっていましたね。去年の12月、いや、5ヵ月ぐらいやっていたんですかね。2023年1月にあったマニアックヘブンのツアーの合間にもデモのアレンジをしていましたし、新曲の構想も練ったりしていましたね。最初はみんなで、「言っても原型があるから、ちょっとずつ時間使ってやったら、完成しそうだな」って話していたんですけど、いやいや、ところが…(笑)。むしろこういう、緻密に構築していくものの方が、すごく時間がかかるもんなんだなって(笑)。

もう完成しているものを、またバラして再構築するんですもんね。

松田そうなんですよね。完成しているものを違う角度でやるっていうスタートで、新曲の“この曲はどこに着地するんだろう”ってゼロから探っていく難しさとはまた別。新しい発見がある楽しさが半分、どこが正解なんだろうっていう、みんなで探求する感じが半分。

皆さんそれぞれ、正解が違うこともあると思います。落としどころを見つけるのも大変だったのではないでしょうか。

松田そうですね。新曲の場合だとある程度決定権にバランスがあるというか。例えばね、作曲した栄純がイメージを引っ張っていくことがありますけど、今回のリアレンジは思い付いた人、こういうのどうだろうって提案した人が先頭していって。このリアレンジアルバムを作り終えて、メンバーそれぞれのプレイや楽器のアプローチがすごく重要になってくる作品だったなとあらためて思います。

楽曲によって楽器のアプローチも違うんですよね。

松田そうです。ベース一つとっても、アコースティックベースだったり、フレットレスベースだったり。エレキベースだとサウンドに激しさとか、 固さみたいなものがあるんですけど、今回は温かさであったり、滑らかさであったりが出ている部分が多いと思います。

コロナ禍でも変わらず新曲を届けた
時代に合わせた曲作りの手法

ちなみに、コロナ禍の3年間、スタジオに集まることができなかったと思いますが、その後、楽曲の制作に関して変わったことってありますか。

松田コロナ禍以前、2019年リリースのアルバム『カルペ・ディエム』のさらにもうちょっと前ぐらいからギターや楽器のシーケンスを入れたり、オルガンの音色を入れたりっていうアレンジが増えていたこともあって、データでのやり取りが増えていたんです。それまでは作曲する人がコード進行とメロディーだけでデモを作って、そのデモでもってそれぞれの場所でビルドアップさせたあと、みんなで集まってアレンジとかアイデアを出し合う作り方だったんです。でもまあ、(コロナ禍では)みんなで集まる機会がなくなるだけだから、今の僕らのやり方でも全然、曲は作れるんじゃないかと。実際、コロナ禍の2020年6月には「瑠璃色のキャンバス」が生み出せましたし。最近のレコーディングや曲作りの流れに近かったので、戸惑いなく作れた感じです。

データの共有という新しい作り方がなかったら、リアレンジのアルバムはもっと大変だったんでしょうね。

松田おそらく、作れなかったと思いますね。たどり着かないまま、いろんな迷宮に迷い込んでいただろうなって思います。データでやりとりしている分、客観的になれる時間も多くなりました。みんなで集まって「これどうしようかな」って悩む時間もないので、感情的になることを避けられて曲に対して冷静には何ができるので。まあ、バンド感とかバンドのロマンっていう意味では、みんなで集まって喧嘩して、色々煮詰まってこの曲が誕生した~みたいなのは、エピソードとしてはすごくいいな、とは思うんですが。

でも、それはこれまでに散々やってきていますもんね(笑)

松田もう、やりましたね(笑)。僕は結構、そういうのも実感が伴っていていいいと思うんですけど、メンバーの中では「みんなで音楽やりたくて、いい曲作りたくてやっているのに、なんでわざわざぶつかって、あえて大変な思いをする必要があるんだ」みたいな意見もありますし。でも、確かにね、目指すのは自分たちが表現したいものを具体化するっていうことですから。譲れないものは譲れないものとしてあるので、そのこだわりがぶつかり合って、各々の信念が混ざり合っていく分には全然いいなと思うんです。ただ、25年を経た今では同じ場所に集まって時間を共有しなくても、通じ合うことができるようになりましたね。

25周年の物語を1曲に。
新曲「Days」ができるまで

そして、リアレンジのアルバムの中の唯一の新曲「Days」についてもお伺いしたいと思います。タイトルが ストレートだなと感じました。この曲に込めた思いを教えてください。

松田この曲は最初からリアレンジアルバムに入れるつもりで作りました。リアレンジで“ああ、この曲にはこういう楽しみ方があるんだ”と驚いてもらいつつ、新しい曲が1曲入っているのがいいなと。なので、リアレンジのムードに合わせた曲を作ろうっていうのがまず一つ。あとは、聞いてくれている人たちが様々な場所、タイミング、時代でTHE BACKHORNに出会ったこと自体が、僕たちが歩んできた道のりでもあるなって。25周年の節目に出すアルバムの中の一曲として、その2つを表現する新曲を、となりました。で、将司が「じゃあ、なにかイメージしてみるよ」って最初に出してきた曲が柔らかくて、日差しがこぼれてくるような温かさとやさしさがあって。でも最後には壮大な力強さも感じられるっていう展開だったんです。自分がこのリアレンジアルバムをやりたいってみんなに提案したこともあったので、「この曲にどんな歌詞がのるんだろう」って迷いもありましたが、自分が歌詞を担当しました。

歌詞のイメージはどういうところからきたんでしょう。

松田やわらかい曲で、3拍子で、さらに今までのTHE BACKHORNの「行くぞ!」「俺たち生きていくぞ!」みたいな力強さだけではない、でもなにか確かなものを、命を吹き込まなければっていうことで結構大変な感じでした。何度か聞いてくうちに、1番最初のサビから始まる将司の弾き語りで「長い月日重ね 築いてきたもの」っていうフレーズが、なんとなく自分の中で見えてきたんです。25年の中で、ファンの方が(自分たちと)出会ったのが10年前、5年前だとしても、長い時間を僕らと一緒に経験してきたわけです。その月日を重ねて築いてきたものは、過ごしてきた人にしかわからない大事な物語。そして、これから先も続いていく物語なんだなっていう実感が出てきたんです。「僕らだけの物語」という歌詞の“僕ら”は、THE BACKHORN4人の物語でもあるし、ファンと僕らとの物語でもあるし。一方で、この楽曲の中にだけいる人物同士の物語、僕らの周年とか歩みっていう思い出だけじゃなくて、この楽曲単体にも物語が生まれていったらいいなって。その3方向のバランスをイメージしながら書きました。タイトルは作詞の途中からなんとなく『Days』だな」ってうっすら思っていて。1番最後の「二度とない今日という日を」とか、「特別な記念日のように輝いてくんだよ」っていうフレーズが出てきたとに、何気なく積み重ねてきた一瞬一瞬が輝けるものとして感じられるのは「Days」っていう言葉かもしれないと。将司が別の曲のレコーディングをしているときに、「『Days』っていうタイトルいいかなと思ったんだけど」って相談してみたら、「あ、いいね」って言ってくれたので、そのままタイトルになりました。

「Days」を訳すでもなくそのままタイトルにしたんですね。「Days」というタイトルは、聞く人によって解釈がそれぞれあるんじゃないかと思いました。わたしは“日常”かなって思っています。

松田本当に。そうですね、日常ですね。訳しても“日々”であったり、あと、“時代”っていう意味もあるんです。それはファンの方が教えてくれたんですけど。リリースした後に聞いたので、“時代”だとよりいいなと思いました。25年の僕らの時代というか、歴史みたいな感じもあるし。でも、あの曲で歌いたかったのは、コロナ禍もそうですけど、世の中を的にもいつどうなるかわからないっていうことなんです。ネガティブな感じに捉えちゃうこともあると思うんですけど、でも、だからこそ、何気ない1日と思えることがあるので。僕らも25年バンドを続けて、これから先もよりいい曲を作っていくつもりです。ここまでやってきた以上、ここから先はバンドをより皆さんと一緒に楽しめるような、そしてその楽しみをみんなと味わいたいっていう思いがすごくあるんです。この積み重ねてきた宝石よりも豪華な素敵な物語を、これから先はより一層味わいながら、日々を過ごしていきたいってことですね。

新たなスタイルのリリースツアー&
アニバーサリーツアー敢行

そして、リアレンジアルバムを引っ提げてのツアーが7月8日の『仙台Rensa』を皮切りにスタートします。今までと全然違うライブになるんじゃないかと、すごくワクワクしているんですが、楽しみ方を教えてください。

松田普段のライブとは違う、イベントの一環として演奏していたので、1つのライブとしてやるのは僕らも楽しみです。『仙台Rensa』では数々の熱いライブをしてきていますが、初めてゆったりとした、多分フロントの3人も座りながら楽器演奏するスタイルなので。今回リアレンジで表現したかった、分かりやすい激しさはないけど、心がじんわり動いたりするような、そういうライブになったらいいなと思います。それを体験すると、今度は普段の熱いライブもまた見たいってなってくれたらうれしいですね。

その次は25周年のアニバーサリーツアー。ワクワクが目白押しの25周年ですね。

松田バンドの歴史の中で、アコースティックサウンドをベースにした、リアレンジしたアルバムを1枚残しておきたいって、結構前から考えていました。ただ、自分たちの楽曲の解釈や演奏スキル、音楽的な幅を受け入れられないまま、やりたい気持ちを優先して実験的に挑戦するのは、本末転倒かなと思っていたんです。「銀河遊牧会」で何回か演奏したことで手ごたえを感じたり、ファンの皆さんから感想をもらったりして迎えた25周年こそが、リリースのタイミングだったんだと思います。今の自分たちだから驚きのある作品にできたし、みなさんにも喜んでもらえるものになったなと思えるので、次はまた第2弾とか…。メンバーが、「あ、 ここかな」ってタイミングがあれば、シリーズ化していけるんじゃないかと思うんですけど。

では、今回のアルバムはリアレンジ第1弾、という位置づけで。

松田僕はその気持ちでいます。いや、でもメンバーは…。でも、それぐらい手ごたえを感じてはいるので、まずは皆さんにもリアレンジバージョンを聞いていただきたいです。あとは、今回のリアレンジでTHE BACK HORNを知ってくださる方が増えたらいいなと思います。

なるほど!これを入口に。

松田はい。自分でも時間やシチュエーション問わず聞けるアルバムだなと思っています。例えば、食事しながら「罠」とか聞くと、「THE BACK HORNって結構熱いな」ってなるじゃないですか。ドライブしているときは、それこそ「光の結晶」「コバルトブルー」とか疾走感のある曲はいいけど、すごく闇が深い曲を聞くと、気持ち的に、ね(笑)。内面に向かっていく楽曲が中にはあるので、今回のリアレンジはいつでも聞けると思います。

それこそ皆さんの日常によりそうような感じですね。繋がりましたね。

松田そういうことかもしれないです。このリアレンジアルバムは、より皆さんの日常に入り込んでくれる1枚なのかもしません。

うまくまとめていただいてありがとうございます。楽しみにしています!

【プロフィール】
THE BACK HORN
1998年結成。菅波栄純 (Gt) 岡峰光舟 (Ba) 山田将司 (Vo) 松田晋二 (Dr) の4人組ロックバンド。“KYO-MEI”という言葉をテーマに、聞く人の心をふるわせる音楽を届けていくというバンドの意思を掲げる。近年のロックフェスティバルでは欠かせないライブバンドとしての地位を確立。熊切和嘉監督とタッグを組み制作した映画『光の音色 THE BACK HORN Film-』、作家・住野よるとコラボレーションした小説×音楽の話題作「この気持ちもいつか忘れる」など、オリジナリティあふれる楽曲の世界観から映像作品やクリエイターとのコラボレーションも多数。

【リリース情報】

初回限定盤
CDアルバム+Blu-ray ライブ映像
VIZL-2194

通常盤
CDアルバム
VICL-65824
\3,300

iyashirobo
癒しロボ

せんだいタウン情報 S-styleの非公認キャラクターとしてその名をほしいままにしてきた癒しロボ。これまで連載してきた4コママンガを振り返ってみたり、癒しロボが注目する情報などをお伝えしていきます。