こんにちは、S-style編集部のアルデンテです。おうち時間もいいけれど、ずっと籠っているのも飽きますよね。何かこう、スカッとすることはないかしら。と思っていたら、すごい映画に出会ってしまいました。8月20日(金)から公開される『孤狼の血 LEVEL2』です。今回は白石和彌監督のロングインタビューを余すところなく、たっぷりとお届け!(長いよ!)
※掲載内容は映画公開時の情報です。2022年1月24日現在、宮城県では上映されておりませんのでご注意ください。
映画『孤狼の血 LEVEL2』は、タイトルからわかる通り、続編です。2018年に公開されたシリーズ1作目『孤狼の血』は日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞、助演男優賞、監督賞、脚本賞など数々の賞に輝き、なんと32もの映画賞を総なめに!
激しいバイオレンスと強烈なキャラクター、裏切りに満ちた男たちのドラマで多くのファンを熱狂させました。
白石和彌監督曰く「柚月裕子先生が書かれた原作小説は、刑事ものだけど映画『仁義なき戦い』や『県警対組織暴力』のようなハードな世界観。今はこういう作品が作りづらい時代だし、映画業界的にも聖域のようなジャンル。原作があったからこそ、思い切って取り組むことができました」
続編については「1作だけでは暴れ足りない部分があったし、コンプライアンスが厳しい中で、そういうものをとっぱらって作れるのが魅力。前作を公開する時には、続編の話が持ち上がっていました」
こうしてできた本作は、原作小説の1作目と2作目の間を描くオリジナルストーリー。主人公は、役所広司演じる大上から、松坂桃李演じる日岡へと変わりました。
前作では新人刑事だった日岡ですが、エリート然とした雰囲気から一変し、今作では短髪にダークスーツでヤクザと見まごうほどのビジュアルに。松坂桃李の新たな魅力が全開です。
「前作から3年経っている間に、日岡はガミさん(役所広司)の代わりに裏社会を牛耳って、バランスを取っている。おそらく、ガミさんの残像を胸に描きながら夢中でやってきたんじゃないかと思うので、映画では日岡の変化を描くのではなく、もう完成された形にしよう、と」
「脚本の段階では、ちょっと難しいかなと思ったりもしたんですが、3年の間に桃李くんも映画『新聞記者』があったりして、人間として力があがっていたというか、懐が深く、大きくなっていましたね」
そして、日岡の前に立ちはだかる最凶のヤクザ、上林を演じているのは鈴木亮平。ビジュアルから作りこんでいくイメージが強い俳優ですが、白石監督は「実は逆」だと言います。
「彼は内面をすごく重視して、そこから逆算して外見を作り上げるタイプ。映画『ひとよ』で一緒にやった時に、そのことがよくわかったんです」
「上林こそ、脚本の段階では『誰がこれをやれるんだろう』と思っていたけど、『ひとよ』での役作りを見て、鈴木亮平ならできると確信しました。上林は大きくて横幅もある、がっしりした体格をイメージしていたので、その点でも合っていました。『人の背中をどう見せるのか、人はどう見ているのか』というのは、前作からのテーマでもあるんですが、彼は本当にバランスの取れた姿で、あれもきっと上林のキャラクターをイメージして計算して作り込んでいたと思います」
敵対する「広島仁正会」と「尾谷組」、警察組織、マスコミがそれぞれの義を掲げ、広島を駆け回る本作。登場するキャラクターは強烈な個性とビジュアルで、誰もがインパクト大!
監督のお気に入りを訊ねると「適材適所というか、みんないいですよね」と言いつつ、「チンタを演じた村上虹郎くんは、観ている人の共感を呼ぶキャラクターだと思います」と挙げてくれた。
チンタは、兄のように慕っている日岡に頼まれ、上林を探るためにスパイとして送り込まれる人物。組の下っ端として働く彼にも、切ない背景と強い思いがあるのです。
「虹郎くんはイノセントでフォトジェニック。演技も本当にうまくて、何気ないちょっとしたシーンもすごくいいんですよ。厳しい局面で決断を迫られるシーンもありますが、普段の彼は『気のいいお兄ちゃん』という感じ。役に対しては熱心に準備してくれて、休み中でもLINEで役作りの相談をしてきてましたね」
「チンタは揺れ動く難しいキャラクターですけど、その曖昧な部分を含めて、しっかり具現化してくれました」
本作の撮影が開始されたのは、2020年9月。コロナ対策を徹底し、広島市と呉市を中心に35日間のロケが行われた。
「スタッフもキャストも、半年や1年、仕事がなくなった時期でした。東映さんが『再開しましょう』と言ってくれて、集まったときにはみんな、ホン(脚本)がボロボロになるくらい読み込んでいて、熱量が半端なかったですね」
「前作では僕が『もっと暴れてください』と言っていましたが、今回はみんな暴れに来てるというか(笑)、溜まっていたエネルギーを爆発させていて。『もうちょっと抑えましょうか』と言うのが僕の役割になっていました」
「撮影を受け入れてくれた広島、呉の皆さんには本当に感謝しかありません。キャスト、スタッフを含め、関係者は現地入りの前にPCR検査。ホテルとロケ地の往復だけで外食も禁止。でも、それだけだとやっぱり持たないじゃないですか。そこで、使ってないお店を、関係者だけの居酒屋として開けてもらったんです」
「行けば誰かがいて、『明日のあのシーンをどうするか』みたいな話をずっとしてましたね。悔しいから『コロナのおかげで』とは言いたくないですけど、こういう状況下だったから、より強固な体制で作れた部分はありますよね」
ところでこの映画、人がバンバン死んだり、激しい暴力描写が多いので、その手の作品が苦手な人はちょっと尻込みしてしまいそう。そんな方に向けて、監督におすすめポイントを教えてもらいました。
「前作とは手触りを変えたくて、エンターテインメント要素を多めにしました。アクションを多めにして、クセの強いキャラクターやかたせ梨乃さんのようなレジェンドもどんどん出てきます」
「宣伝では、よく『鈴木亮平やべえ』みたいな言い方をされていますが、僕と亮平くんで『桃李くんをどういじめるか』を考えた結果です。どんなにボコボコにされても、孤独になっても、日岡は諦めずに戦いを挑んでいく。その、ボロボロになっても戦う桃李くんの美しさを観てください」
これまでアウトローな世界を多く描いてきた白石監督。「僕は光が当たらない、影の中で生きている人たちを描きたい。こういう作品をつくる以上は、ヤクザ映画の暴力がどこから出てくるか、差別の問題や広島でやる意味を描く義務があるんじゃないかと思っています。映画の中で誰が犠牲になっていったのかを考えると、そういう部分も見えてくるかな」と社会派な側面も。
「とにかく、やり切った映画なので、観た方からは『元気でました!』という声もいただいています。発散できる映画になっていると思います!」
公開は8月20日(金)。日頃のモヤモヤを、映画『孤狼の血 LEVEL2』でぶっとばしちゃってください!
※掲載内容は映画公開時の情報です。2022年1月24日現在、宮城県では上映されておりませんのでご注意ください。
映画『孤狼の血 LEVEL2』
2021年8月20日(金)全国公開
【出演】松坂桃李、鈴木亮平、村上虹郎、西野七瀬、音尾琢真、早乙女太一、渋川清彦、毎熊克哉、筧 美和子、青柳 翔、斎藤 工、中村梅雀、滝藤賢一、矢島健一、三宅弘城、宮崎美子、寺島 進、宇梶剛士、かたせ梨乃、中村獅童、吉田鋼太郎
【上映館】TOHOシネマズ仙台、MOVIX仙台、イオンシネマ新利府、イオンシネマ名取、109シネマズ富谷、イオンシネマ石巻、ユナイテッドシネマフォルテ宮城大河原
https://www.korou.jp/
※掲載内容は映画公開時の情報です。2022年1月24日現在、宮城県では上映されておりませんのでご注意ください。
日々、4歳児に振り回される中、癒しはコーヒーとアルコールと人んちの猫。マンガアプリを渡り歩いて、隙間時間に読むのが趣味。いまチェックしているのは「胚培養士ミズイロ」「ダンスダンスダンスール」。「街のANTENNA」コーナー担当。
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