“あの日”をしっかりと記憶に刻み、伝える。そして繰り返さないために学ぶ。東日本大震災から12年の今、ぜひ訪れてほしい気仙沼と南三陸の施設を紹介します。
■気仙沼市 東日本大震災遺構・伝承館
■リアス・アーク美術館
■南三陸311メモリアル
■まとめ
リアルに遺された津波の爪痕。この場所に自分を投影し、あの時、自分なら?を考える。
まず、最初に訪れたのは、『気仙沼市 東日本大震災遺構・伝承館』。気仙沼向洋高校の旧校舎を見学することができ、館内の展示ゾーン、映像シアターなどと合わせて学ぶことができます。
今回は、見学するだけではなく、語り部の近藤さんに校舎内を案内いただきました。
津波によって旧南校舎内に運び込まれた車がそのまま残された教室から、校舎の屋上へ。目の前に広がる太平洋から押し寄せた津波が屋上近くまで上がってきた写真や、「ほら、ここから見えるでしょう。みんなで走って登っていった避難先の気仙沼市立階上中学校があそこです」など、この地を襲った自然の驚異を想像し、“自分だったらどう行動したのだろう?”と考えさせられます。
「天井まですっかり波をかぶって、ほら、むき出しになったままでしょう」と近藤さん
冷凍工場があった当時の写真を片手にわかりやすく状況を説明いただきました
学校に残された先生たちの話によれば、屋上まで被るんじゃないかと、あの上まで登ったとのこと
天井部分がすっかり失われた体育館の先、自宅の方角に指を指す近藤さん
すっかり土台だけになってしまった体育館、旧南校舎と旧北校舎との間に一本だけ残った卒業記念植樹の木など、ぐるっと案内いただきました。
旧南校舎の西側の4階部分が大きくえぐれているのは、流されてきた建物がぶつかった跡だという
校舎の中庭に残った、昭和40年度卒業生の記念植樹は今もしっかり育ち続けています
令和4年4月より館長を務める芳賀館長が語った「時間が経つとどうしても記憶が薄れてくるので、伝え続けなければ…」という言葉に込められた想い。見学を終えた頃には、自分が誰かに伝えたいと思っていただければうれしいです。
「自然災害から命を守るにはどうしたらいいのか?を考えるきっかけにしていただければと思います」と芳賀館長。
気仙沼市 東日本大震災・伝承館
住所/宮城県気仙沼市波路上瀬向9-1
☎0226-28-9671
開館時間/4~9月:9:30~17:00(最終受付16:00)、10~3月:9:30~16:00(最終受付15:00)
休館日/月曜(祝日の場合は翌火曜)
特別開館日/※曜日・祝日に限らず開館 毎月11日、9月1日(防災の日)、11月5日(世界津波の日)
入館料/一般600円、高校生400円、小・中学生300円 ※小学生未満無料
体験プログラム/語り部ガイド(90分)6,000円(1~20名)※要予約
https://www.kesennuma-memorial.jp/
震災被害の“かけら”に添えられた学芸員の言葉が、“どこかの誰か”から“自分”に主語が変わる。
気仙沼湾を見下ろす高台に位置する『リアス・アーク美術館』には、学芸員たちが一つひとつ集めた震災資料(被災物)の展示があります。東北、北海道の作家の手による美術作品等を展示する常設展のほか、「方舟日記」では歴史・民俗資料を公開(共に2階アークギャラリー内)するなど、一度でいくつもの作品が楽しめる、地域に根ざした美術館です。
総3階建て、屋上に庭園がある『リアス・アーク美術館』。平成6年に開館、翌年には「1995年日本建築学会賞」を受賞
東北や北海道の作家による写真、絵画などの展示を行う常設展
じっくり鑑賞していると、時間があっという間に過ぎていきます
歴史・民俗資料を展示する「方舟日記」。館長の手によるイラストの解説がわかりやすいと評判
そして1階企画展示室にあるのが、「東日本大震災の記録と津波の災害史」常設展示、記録資料の数々。
「震災関連の展示は2013年から始めた」と話す山内館長。展示物一つひとつに学芸員たちが添えた、ぬくもりあふれる“言葉”たちが、単に、自然災害の驚異を思い知らされる“モノ”の展示に留まらず、美術館ならではの芸術表現的手法で展示されているのです。
「全体に時間をかけてじっくりと鑑賞いただければ、美術館が民俗資料や災害記録資料を展示している意味を感じていただけると思います」と話す山内館長
一見、無造作に置かれていると思われるかもしれませんが、部屋全体のレイアウトもインスタレーション展示として意図されています
モノから発せられるメッセージを、学芸員の皆さんが言葉に置き換え、添えられています
客観から主観へ、見る人それぞれが自分に置き換えて感じることができるでしょう。ぜひ実際に足を運んで“言葉”に触れてほしいと思います。
リアス・アーク美術館
住所/宮城県気仙沼市赤岩牧沢138-5
☎0226-24-1611
開館時間/9:30~17:00(最終入館16:30)
休館日/月、火曜・祝日の翌日(土、日曜を除く)
入館料/無料 ※駐車場無料
観覧料/常設展示(共通チケット)一般700円、大学生・短大生・専門学生600円、高校生500円、小・中学生350円
http://rias-ark.sakura.ne.jp/2/
もし自分だったら、どう考え、どう行動したのか。体験者の声から、自然災害について学ぶ。
建築家・隈研吾氏の設計による印象的な外観の『南三陸311メモリアル』。こちらで体験してほしいのは、東日本大震災や津波災害等を自分ごととして学ぶラーニング・プログラムです。
巨大な3面モニター「ラーニングシアター」に映し出される貴重な証言映像を鑑賞しながら、合間に“もし、自分がその場にいたら、どう考えて、どのように行動したのだろうか?”と、周りの人との対話を通じて考えていきます。
「ラーニングシアター」内は、モニターが見える位置であれば、どの向きに座ってもOK。正面、左右の3面モニターから、まるでその場にいるかのような臨場感が味わえます 提供/南三陸町
今回は、映像にも登場している、地元・南三陸町で農漁家れすとらん『松野や』(住所/南三陸町入谷鏡石23-5 ☎0226-46-4986)を営む松野さんにお話を聞くことができました。
ご自分とお孫さんが一緒に写っている写真の前で「今はもう、大学生と高校生なんですよ」とにこやかに話す松野さん
志津川病院(当時)に入院中だった松野さん。何度も寄せては返す津波の襲来、降りしきる雪と寒さ、見上げれば満点の星空…。想像を絶する体験と闘病生活を乗り越えてある“今”。誓った言葉は「生きることをあきらめない、あきらめさせない」。地元食材を使ったボリュームたっぷりの料理を提供しているのも、“あの時、周りの人に助けられた”という思いからなんだとか。
町の皆さんから寄せられた震災前の写真の前で、松野さん(左)と、取材に対応いただいた『南三陸311メモリアル』の楢崎さん(右)。人それぞれの思い出の瞬間を切り出した写真を見ながら、思い出話に花が咲きます
「ラーニングシアター」の前室にあるクリスチャン・ボルタンスキーの作品群。人間の生死や尊厳を感じてからシアターの映像を見ていただきたい 提供/南三陸町
町民たちが、震災時から今、そして“これから”を綴る映像もぜひ見てほしい(定期的に展示替えがあります) 提供/南三陸町
「ラーニングシアター」にぜひ訪れていただいて、今一度、しっかりと自然災害の驚異と向き合い、“その時に自分ならどうするのか”を考えるきっかけを作ってほしいと思います。
南三陸311メモリアル(道の駅さんさん南三陸内)
住所/宮城県本吉郡南三陸町志津川字五日町200番地1
☎0226-47-2550
開館時間/9:00~17:00
休館日/火曜、年末年始(12月29日~翌1月3日)
入場料金/
ラーニングシアター※上映時間はホームページを確認
60分レギュラープログラム:一般・大学生1,000円、高校生800円、小・中学生500円
30分ショートプログラム:一般・大学生600円、高校生500円、小・中学生300円
https://m311m.jp/
※団体(10名以上)料金あり
※10名以上でご利用の場合は、事前の団体予約をお願いします。
※今後変更になる場合がございますので、詳しくはホームページをご確認ください。
気仙沼、南三陸にある3つの施設で東日本大震災に関連する展示を鑑賞し、自分ならどうする?を考えるきっかけにしてみましょう。
■各施設のホームページ
気仙沼市 東日本大震災遺構・伝承館
https://www.kesennuma-memorial.jp/
リアス・アーク美術館
http://rias-ark.sakura.ne.jp/2/
南三陸311メモリアル
https://m311m.jp/
■問合せ
宮城県気仙沼地方振興事務所 地方振興部
☎0226-24-2593
せんだいタウン情報 S-styleの非公認キャラクターとしてその名をほしいままにしてきた癒しロボ。これまで連載してきた4コママンガを振り返ってみたり、癒しロボが注目する情報などをお伝えしていきます。
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