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2018.07.06

GAGLE special interview ―村田町の魅力を掘り起こす。話題のPR動画の舞台裏―

 宮城県南部、柴田郡に位置する、人口約11,000人の町・村田。今年4月に発表された、2018村田町プロモーション動画「証-AKASHI-」が話題となっています。音楽制作を務めたのは、宮城県在住で、全国にコアなファンを持つヒップホップアーティストGAGLE(ガグル)。彼らならではの視点で町の魅力を掘り起こした、話題の動画について話を聞きました。

今回は、どのような経緯でこのPR動画に携わることになったのでしょうか?

HUNGER村田町から、僕らGAGLEの音楽と、ダンスで町の魅力を表現したいという企画を頂いて。ぜひ協力させてください、と。

「村田町の“物語”を伝える」がコンセプトの今作。制作にあたって、どうやって村田町への理解を深めましたか?

DJ Mitsu the Beats実際に町の人に会って、結構たっぷり話を聞いたよね。

HUNGERうん、映像にも映っている『村田商人 やましょう記念館(旧大沼家住宅)』にまず行って、その向かいにある『かねしょう商店』で商人の歴史を聞いたり。それから自分たちでも観光スポットを周って、説明を受けつつ、実際に触れたり見たりしながら、そこにある背景も探っていった。歌詞に登場する内容は、ほぼ町の人から直接聞いた内容。もちろん自分で調べもしたけど、曲を作る時は、そこに自分の感情が乗らなきゃいけないから、生身の人からもらった情報を大切にしているかな。町に足を運んで、色んな人に会って、町を案内してもらって、イメージを膨らませていった感じです。

「村田町には、“ルーツと今”っていう縦の繋がりとか、歴史や、代々受け継がれているものが残っている。そこを重点的に表現すれば、村田町の魅力が伝えられるんじゃないか、と」(HUNGER)

実際に足を運んで、村田町の新しい発見はありましたか?

HUNGERもう、ほぼ全部(笑)。95%知らないことづくし。

DJ Mitsu the Beatsうん、行ってみないと、あの空気感は分からないよね。

HUNGER村田といったら、“道の駅”と“ジャンクション”っていう感じでしょ。それから、山形行く時も通るし、遠刈田とか青根に行く時も通る場所だから、“中継地点”というイメージがあって。これまでは、町に入る前に道を曲がっちゃっていたことが多かった。でもいざ町に入ると、ヒントはそこかしこにあって、ちゃんと自分で探せば、すごく面白い発見がある町だな、って思った。考え方がすごく面白い。

 
「どこからか聞こえてくる 笛と太鼓

引き寄せられるように くぐるゲート

忙しない日々の 合間がよく似合う

何かありそう そんな予感」―「証-AKASHI-」より
 
 

歌詞には、印象的なストーリーがたくさん登場しますね

HUNGER曲の中で、「福も内鬼も内」っていう歌詞があるんだけど、それも町に伝わっている言葉なんだよね。

DJ Mitsu the Beats一部の地域でずっと代々伝わっている言葉らしい。

HUNGERそうそう。“鬼と村田町”っていうのはすごく密接な関係があるらしくて。“鬼がいた”とか。“鬼が武士と戦って、逃げる時によろけてついた手形が残っている石がある”とか。色々面白い逸話があって、そこから物語が見えてくる。

バックトラックの笛の音も印象的です

HUNGERまずはトラックを先に作りました。笛の音は、村田町に代々伝わる「布袋囃子」という祭り囃子のフレーズ「あおばの笛」をサンプリングしたもの。すごく面白いのが、祭り囃子だから本来テンションを上げるもののはずなんだけど、もともとの笛を鳴らしたルーツを探っていくと、戦いに敗れて逃げ込んできた武士が故郷を思い出して吹いているっていう言い伝えがあって。ちょっと悲しさがあるフレーズなんだよね。だから、今は祭りの音として使われているけど、兄貴(DJ Mitsu the Beats)が選んだ路線っていうのは、間違ってないんだと思う。普通だったら祭りっぽい音になるところを、旋律の中にある悲しみを見つけられたということ。兄貴もそのルーツ、知らなかったんだよね。

DJ Mitsu the Beats最初はね。

「笛の音は、本当にすごく昔から使われているフレーズらしい。祭囃子のテープ音源を聴かせてもらった時に、キレイなメロディをのせたら合うんじゃないかなって思った」(DJ Mitsu the Beats)

 「命からがら生き延びた武士が

故郷を思い吹いた笛が

町の人たちの心を動かして

代々伝わり 秋の祭りになった」―「証-AKASHI-」より 
 

村田町を訪れて、感じたことはありますか?

DJ Mu-R人がすごくあったかいんだけど、不思議な雰囲気も残っている町だよね。

DJ Mitsu the Beatsそれはすごく感じたね。

HUNGERミステリアスなのよ。今回の映像から伝わってくるミステリアスさと、村田町のミステリアスさは結構一致している気がする。ダンサーさんの雰囲気も合ってるし。だから、鬼の逸話があるんだよって言われても、“確かにそうかも”って思わされる雰囲気がある。信憑性があるっていうか。

村田町で特に気に入った場所はありますか?

DJ Mu-R映像にも登場している『姥ケ懐 民話の里』。その斜め向かいにディープな蕎麦屋さんがあって、その裏に「鬼の手掛け石」があるんだよね。

HUNGER里山っぽくて、鬼とか昔話を信じさせる雰囲気があるエリア。発見することが好きな人だったら、絶対行った方が良いと思う。俺らも、「鬼の手掛け石」の近くの蕎麦屋さんに行ったんだけど、店の人に「いや、あれはおばあちゃんの手形なんだ」とか言われて。

DJ Mu-R普通に言われたもんね。「違うんだ」って(笑)。

HUNGER「孫をあやすために、おばあちゃんたちみんなあそこを歩いてたんだ」とかって言ってて(笑)。でも普通、石にあんな手形はつかないよ、って思って。どんだけばあちゃん怪力なんだよ! っていう(笑)。でもそういうのってミステリーだから、決まった答えはないし、訪れる人がそれぞれ答えを見出したらいいと思う。そういうところが面白いよね。

村田町中心部も良いけど、『姥ケ懐 民話の里』付近は特に村田町らしさがあると思う。町の魅力を知るにはおすすめのエリアです。(DJ Mu-R)

ほかに気に入った場所はありましたか?

DJ Mitsu the Beats俺は、蔵の中に入れたのが良かった。基本的に古いものが好きだけど、“蔵”はなかなか触れることがなくて、未体験なことだったので。昔のポスターや貼り紙がそのまま貼ってあったりとかして、その当時住んでいた人の空気を感じることができて、すごく良かった。もっと蔵の主と仲良くなったら、「ほらここも」「ここも」みたいな感じで、見せてくれる部分が増えていきそうだよね

DJ Mu-R確かに。

HUNGERあれだよね。仲良くなった人が最終的に自分の家のレコード部屋を見せてくれるって感じ(笑)。俺は『白鳥神社』が気に入ったかな。鳥居のそばに、グッと迫ってくるような迫力のある大きな藤の木があるんだけど、それにも伝説があって。その木が大蛇に見えたとことで、武士が逃げて行って、町が救われたとか。その「蛇藤」が、すごく良いんですよね。“そんな伝説本当?”“本当に大蛇に見えたの?”って最初は思うけど、実際に行くと、信じさせられる雰囲気がある。だからみんな、“本当かよ!”って思いながら行ってほしい。

 
「町の中心 建ち並ぶ 誇り高き 蔵の街並み
遥か昔 二つの頭で睨みをきかす
大蛇へと化けた 藤の木のマジック
鬼の痕跡辿り 語り継がれてきたんだ
SUGOいストーリー
山車が練り歩くと色とりどりに
町が賑わう 布袋囃子」―「証-AKASHI-」より
 
 

たくさんの場所を訪れたんですね!

DJ Mu-Rあとは、『道の駅村田』の中にある「レストラン城山」にぜひ行ってほしい。ソラマメのうどんと、お刺身や天ぷらがついた「城山御膳」がおすすめです。あれを食べにわざわざ行く価値がある。

DJ Mitsu the Beatsあれ最高だよね! おいしいし、安いし、ヘルシーだし。あれ、680kcalしかないから。

HUNGER本当!? 天ぷらとかあるのに?(笑)

DJ Mitsu the Beatsいや、あれは680kcalだね。天ぷらもカラッと揚がってたし。

HUNGERカラッと揚がってたからって…(笑)。

MITSUさんらしいこぼれ話です…!

それでは、最後に村田町の魅力を一言でお願いします。

HUNGERミステリアスすぎて、語れない(笑)。色んな伝説とか言い伝えがあって、真相にはまだ誰も辿り着いていないけど、それがいいと思う。あの町に行ったら、何かあってもおかしくない、って思わされる神秘的な感じがある。今回の歌詞でも、皆が知らないことがいっぱいあると思うから、行けば良い発見になると思う。“村田町ミステリーツアー”おすすめです!

 「時は流れても 確かな証

今に伝わった価値

宮城村田町

時は流れても 繋いでく形

今に繋がった価値

宮城村田町」―「証-AKASHI-」より
 
 

【関連URL

村田町 「証-AKASHI-」特設ページ

http://www.town.murata.miyagi.jp/kanko/promotion/index.html

※音源フリーダウンロード可

 

GAGLE プロフィール】

DJ Mitsu the Beats , HUNGER, DJ Mu-R3人からなるHIP HOPアーティスト。仙台在住。’96年に結成。’01年「BUST THE FACTS」でデビュー。その後、日本語HIPHOPクラシックスとして知られる「雪ノ革命」「屍を越えて」「うぶこえ」を生み出し、時代とリンクしながらも譲らない曲制作と評価が高いライブパフォーマンスを武器に着実にファンを獲得している。

 

この後3人は『ラジオ3』の人気番組「マイタウンRADIO」に出演! 放送は7月13日(金)15時35分頃を予定しています。FM76.2をチェック!

achiki
あちき

日刊S-style Web編集長。仙台生まれ仙台育ち。週1ジム通いの後にすする『そばの神田』が至福。コロナ禍以降は料理とお笑い、「ゼルダの伝説」に凝っています。