「3代目宮城県住みます芸人」として活動中の、吉本興業所属お笑いコンビ・バクコメ。弊誌S-styleでも連載企画を持つバクコメから、なんとこのたび半澤さんが音楽アーティストとしてメジャーデビューを遂げました。
曲のタイトルは「いいねいいね」。
半澤弘貴自らが作詞作曲し、編曲は宮城県を拠点とするバンド・MONKEY MAJIKのDICKが担当。
アツくストレートな歌詞が胸にグッと刺さる、スローナンバーなロックチューンに仕上がっており、各所からは「意外なほど良すぎる」と評判になっています。
いよいよ6月1日から各種配信サイトでリリースが始まった「いいねいいね」に込めた想いを半澤さんにお聞きしました。
――念願のメジャーデビューおめでとうございます!今の気分はいかがでしょうか?
半澤 本当にメジャーデビューしちゃった!各配信サイトに自分の曲がのっているのが不思議な、でもとてもうれしい気分です。
――デビューの経緯はどういったものだったんでしょうか?
半澤 実は「いいねいいね」は元々、7年前くらいにできていた曲なんです。当時tbcラジオで番組を持っていまして、そこで僕が最近、父からギターを譲り受けたという話をしたところ、隣に居たプロデューサーが「じゃあ来週までに一曲作って来て」と意地悪な無茶ぶりをしてきたんです(笑)。当時よく使っていた、“頼むぜ”というギャグで作ってみてよ、というのがオーダーでした。
半澤 実は“頼むぜ”というフレーズにはモデルがあるんです。昔、港でバイトしていた時に一緒に働いていた「佐藤さん」というおじいちゃんが居て、その佐藤さんの口癖が“頼むぜ”だったんですよ。なので、「頼むぜ」は佐藤さんと僕のヒストリーでいいなと。できあがった曲を翌週、生放送で披露したんですが、それが意外に「いいじゃん」と好評で。
するとそのプロデューサーが今度は、当時僕が番組の中でふざけてよく言っていた“いいねいいね”で来週は一曲作ってきてと。いや、“いいねいいね”は難しい!漠然としているし、今度はエピソードを盛り込むようなこともできないし。
何を歌詞にしようかと考えた時に、「自分が経験してきたことを言葉に起こしてみようかな」と思ったんです。「やりたいことをやっても他人に迷惑かけるなよ」「ポジティブに生きれば結果もポジティブになるから」とか母ちゃんから言われたことや、今まで経験してきたこと、人生観を、ちょっと押し付けがましいところもあるんですが、詞に書き起こしてスローナンバーの曲にして披露したんです。そうしたら、それもラジオ内では好評だったんです。
半澤 それからしばらく経ったある時「いいねいいね」の存在を思い出して、自分で弾き語りしてレコーディングしてみたんです。「せっかくだからミュージックビデオも作ってみよう」と思って、カラオケで流れるミュージックビデオ風のダサいビデオを作ってYouTubeにあげてみました。その当時、MONKEY MAJIKさんとラジオで共演させてもらっていまして、収録の合間にベースのDICKさんにMVを見てもらったところ、「なにこれ、面白いことやってるね!」「この音源はまだあるの?」と聞かれました。
半澤 DICKさんに、自分でドラムを打ち込んで適当に弾き語りをした音源を送ったところ、「ちょっと遊ばせて」と。それから数週間経った時に、ちょうど自分の結婚祝いを自宅で開いたんですが、宴もたけなわといったタイミングでDICKさんが「これ聞いてください」と言って、スピーカーをドンと置いたんです。そうしたら、めちゃくちゃかっこよく編曲された「いいねいいね」が。ドラムもばっちり合ってるし、ギターソロもコーラスも入ってるし。「すげー!!」って。それを自由に使っていいと言われ、心の広さというか、DICKさんの粋な感じがすごくカッコイイなと思いましたね。
最近になって、MONKEY MAJIKさんのマネージャーさんから「『いいねいいね』はすごく良い曲だと思うので、これ形にしましょう」と言っていただき、我々の前任のマネージャーさんも、「この曲なら(ダウンタウンの)浜田さんが歌ってたら70万枚売れてたよ!」と(笑)。じゃあなんとかこれを配信でリリースできるように動きましょう、となり、さまざまな場所にかけあってリリースできることになりました。
――周囲に支えられて、あれよあれよとデビューに漕ぎつけた形だったんですね!
半澤 本当にそうですね。感謝です。住みます芸人になって宮城に来たからこうなることができたので、当時のラジオ番組のプロデューサーさんにも、DICKさんにも、秀作にもみんなに感謝です。良いタイミングでギターをくれた親父にも感謝です。
ジャケットも実は、DICKさんのプロデュースなんですよ。僕の意向も汲みながら10パターンくらい作ってくれて。曲のアレンジの時も、僕がTHE YELLOW MONKEY好きなのを知ってくれていて「イエモンっぽい感じにしてみました」と言ってくれたり。特に、流れるようにギターソロに入っていくところなんて、ジャムっぽい感じでカッコイイ。DICKさんはすごくサービス精神旺盛な方なんです。
――歌詞の中で、特に聴いてほしいフレーズはありますか?
半澤 やっぱり「やりたいことやりたいだけやっちまえば良い」というフレーズですね。あとは、「やりたいことができているのは幸せだ」というところ。
2013年7月に住みます芸人として宮城に来たのですが、実は2011年1月には「芸人を辞めようかな」と思っていたんです。当時、東京で生活していて、正月に久しぶりにこっちに帰ってきた時、閖上の港で車を停めて、久しぶりに会う友達に3時間くらい相談したんです。
その当時、警察官になりたかったんですよ。「今ならまだ公務員の道も間に合うかな」と思って、色々勉強し始めようとしていた頃でした。そしたら友達が「それは絶対に後悔すると思うよ。警察官や公務員の道が悪いわけじゃないけど、今、半澤君はやりたいことができているんだから。それは後悔すると思うな」と。そのあと震災もあって。
やりたいことができずに、その道に進めなかった方もいると思うんです。その中で僕は恵まれた環境にあって、理想の夢とはまだほど遠いかもしれないけれど、やりたいことでお金をもらえて人を楽しませることができている。そのことにまず感謝だなと思って。
それを歌詞に盛り込みたいと思ったんです。なかなか大変だけれども、やりたいことができているのはいいことなんじゃないかと思って。
――アーティストとしてのこれからの目標は?
半澤 目標はMステ&紅白じゃないですか。今までは可能性0%だったんですよ。ただ、「いいねいいね」という曲が出たということは、0.001%くらいは可能性があるんですよ。たとえば超大御所のミュージシャンが「いいじゃん、この曲」とラジオで紹介してくれたり、誰かの目に止まったりすれば! もちろん一般の方でも、「誰も知らないかもしれないけど良い曲なんだよね」とSNSで紹介してくれたりすれば…。奇跡のMステ、願ってます。
ミュージシャンだけど僕は芸人なので、ほかのミュージシャンと違うところは、かっこつけてるのがボケにもなるし。“マジに歌う”っていうのがボケにもなるので、歌に対してのハードルはけっこう低いと思うんですよね。「意外にうまいじゃん!」って。そこも活かして、今までにないアーティストになれたらと思います。
――これから作ってみたい曲はありますか?
半澤 テーマをもらえた方が曲を作りやすいタイプだと思っています。たとえば会社や町、お祭りのイメージソングとかを作ってみたいですね。
――「S-style」をテーマに曲を作るとしたらどんな曲になりそうですか?
半澤 すごく賑やかな曲になると思いますよ。サビは、うーん、“街に愛される雑誌”…。最後は“エススタイルーーーー↑↑↑♪”みたいな感じになりそうですね。
――アーティストとしてこれからまずはなにに取り組みますか?
半澤 まずは色んなところで「いいねいいね」を歌いたい。地域のお祭りだったり、イベントだったりで歌って「良い歌じゃん!」と思ってほしい。
僕はそういうつもりなく書いていたんですが、「頑張る人の応援ソング」にもなるかもしれないと思っているんです。中には、聴いてくれた人の中で泣いてくれた人もいるみたいで。「ちょうど自分に刺さる内容」だったと。
最近、自分も思うんですが、音楽って自分に刺さる時期と刺さらない時期があるんですよね。この曲も、あなたに刺さる時が絶対に来ますから。ぜひ夢を追っている人に聴いてほしいです。
今回はMONKEY MAJIK・DICKさんとのタッグなので、DICKさんのアレンジのかっこよさも堪能してもらいたいです。宮城の人にはぜひ、まずは1回でも良いので聴いてもらいたいですね。
――最後に、日刊S-style Web読者の皆さんにメッセージをお願いします!
半澤 みなさんもやりたいことやりたいだけやっちゃってください!でも他人に迷惑かけちゃだめだよ!
【楽曲概要】
1st 楽曲配信「いいねいいね」
半澤 弘貴
6月1日(水)配信開始
作詞/作曲:半澤弘貴
編曲:DICK
▼楽曲配信ページはこちら
https://lpm.yoshimoto.co.jp/71897/
【プロフィール】
バクコメ 半澤 弘貴(はんざわ こうき)
1983年生まれ、宮城県名取市出身。吉本興業所属。東京NSC9期生。2004年に相方・秀作とお笑いコンビ・バクコメを結成。2013年7月に仙台に移住し、3代目宮城県住みます芸人として活動開始。2022年6月に配信シングル「いいねいいね」で音楽アーティストとしてメジャーデビュー。
【出演情報】
ラジオ3 「バクコメの『お仕事ください』」
tbcラジオ「塩沼亮潤とバクコメのぼちぼちがんばるDAY」
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ナトラジ「Eternal★Blade」
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日刊S-style Web編集長。仙台生まれ仙台育ち。週1ジム通いの後にすする『そばの神田』が至福。コロナ禍以降は料理とお笑い、「ゼルダの伝説」に凝っています。
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