撮影/齋藤太一
’88年の日本初演以来、喝采の中で時を刻み続ける不朽のミュージカル『オペラ座の怪人』。世界中の人々を魅了し続ける、まさに世界に君臨する名作だ。目の前で鮮やかに蘇る19世紀のオペラ座。グランド・ミュージカルと呼ぶにふさわしい、贅を尽くした舞台のロングラン公演が、この秋仙台で17年振りに実現する。劇団四季俳優の一人として数々の作品に出演する北澤は、『オペラ座の怪人』で初舞台を踏んだ。「僕にとっては“劇団四季と言えば『オペラ座の怪人』”と思っていたくらい、憧れの作品でした。90年代、各地に新しくできた専用劇場のほぼ全てのこけら落としとして、この作品が上演されたほど、劇団にとっても大事な作品です」と語る。「初舞台はアンサンブルの一人として出演しました。僕は本当に歌しかやっていなかったので、バレエや芝居はもちろん、舞台上での立ち姿に至るまで細かい部分にもたくさん指導を受けました。そこから経験を重ねて、さらに深く作品について深く作品と向き合い、念願のラウル役で出演する機会もありました。そして今は、これまでの経験を活かして演出スーパーバイザーとして『オペラ座の怪人』に携わっています」と、同作品との歴史を振り返る。一般的にあまり耳馴染みのない“演出スーパーバイザー”という役割は、実は劇団四季のハイレベルで緻密な公演を成立させる立役者でもある。「作品への深い理解に努め、ダンスや歌唱、演技と多方面から稽古を管理して俳優を育成します。長期間の公演は、たった一人の俳優が演じ続ける訳ではないので、継続的なキャストの育成が欠かせないんです。『オペラ座の怪人』は、これまではどうしても“歌”に注目されがちな作品でした。もちろんそこだけ切り取っても素晴らしい作品ですが、一つひとつの場面でさらにキャラクターたちの人間的なドラマをしっかりとお見せできれば、と思っています。僕は実際にラウル役としても舞台に立たせていただきましたから、経験を踏まえつつ、客観的な意見を入れてアドバイスしています」。常に切磋琢磨しながらスキルを磨き続けるキャストと、それを支える劇団員。最高の舞台を届けるためにたゆまぬ努力を続ける彼らだからこそ、たくさんの感動や驚きを与えてくれる。「『オペラ座の怪人』は名曲揃いです。日本で初上演してから30年経っているとは思えないワクワク感があるし、時代と共にどんどん洗練されてきています。誰もが知っている舞台だからこそ、劇団としてまだまだやるべきことがあるし、皆さんの期待以上のものをお届けしなければ、とも思っています。そして本番の舞台上には、“一度きり”という緊張感があります。ヒリヒリするような空気の中で、歌姫クリスティーヌと怪人ファントムの、美しくも儚い物語をお届けしたいと思います。楽しみにしていてください」と、仙台公演への期待が膨らむ言葉で締めくくってくれた。
撮影/齋藤太一
北澤裕輔(きたざわゆうすけ)
東京都出身。国立音楽大学声楽科を卒業後、二期会オペラスタジオを経て劇団四季に入団。’98年に『オペラ座の怪人』で初舞台を踏み、その後同作品でラウル、『ライオンキング』シンバ、『ジーザス・クライスト=スーパースター』ペテロ、ヘロデ王、『ウィキッド』フィエロ、『美女と野獣』ビーストなど、数多くの作品に出演。端正な顔立ちとのびやかな歌声が多くの観客を魅了し続けており、現在は演出スーパーバイザーとしても活躍中。
撮影/堀勝志古
<公演情報>
劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』仙台公演
期間/10月22日(月)~1月14日(月・祝)
会場/東京エレクトロンホール宮城
料金/S席¥10,800、A席¥8,640、B席¥6,480、C席¥3,240※2歳以下入場不可、公演当日3歳以上チケット必要(膝上観劇不可)
問い/劇団四季予約センター
電話/0120-489-444
小学2年の息子を追いかけながら、日々せっせと働くワーキングマザー。「せんだいタウン情報S-style」第18代目編集長やってます。BTSが好きすぎて、やたらと韓国料理ばかり作っているただのARMY。
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